個展、終了しました。
会期中、お越し下さった皆様、有り難う御座いました。
会期中、お越し下さった皆様、有り難う御座いました。
多様な人々や価値観が行き交う場所で、頂いた沢山のご意見、今後の貴重な財産となりました。
今回の展覧会では、人間を超えた何者かへの祈り、あるいは反発、この自らに内在する相反する思いをもとに表現した作品を発表しました。
その昔、ソクラテスはデルフォイのアポロン神殿に刻まれていた「汝自身を知れ」という言葉を「自らの無知を自覚せよ」と解釈したと言われています。出品作の《汝自身を知れば知るほど青二才by 如来くん》は、悟りを開いたはずの如来が自らに疑念を持ち、現代の学校に通い、倫理の教科書を読んで「無知の知を知る」という重たいギャグがテーマとなっている作品です。
また、土地蔵(どじぞう)と自ら名付けた祈りの像は、信仰から離れて生きる現代の私が、土の可塑性に身を委ねながら、手探りで生み出した祈りの対象とも言えます。
土地蔵(肆佰伍拾伍)
土地蔵 小(弐拾玖)
私が己の文字を刻み記すのは、思考の過程にある〈目的の尊厳〉を、誰よりも求め続けるからだIX
《私が己の文字を刻み記すのは、思考の過程にある〈目的の尊厳〉を、誰よりも求め続けるからだIX》は、自らの思考を最も崇高なモノとして捉え、自身しか解読することができない文字を記し、他による救済を否定する強いエゴに基づいた表現です。この文字の作品シリーズでは他者を理解するためのコミュニケーションツールとしてではない、文字のあり方を模索しています。
《Mr.ドクニンジンの僕だって一人でラジオ進行できるもん♪》は、死後の世界よりソクラテスと名乗る男がラジオ放送をしているというもので、会場に5分間隔で流れるようになっています。放送では、自ら死を受け入れてしまった人間には良く生きるチャンスすらないということを死んでから気づいたという後悔などが赤裸裸に語られています。
Mr.ドクニンジンの僕だって一人でラジオ進行できるもん♪
《汝自身を知れば知るほど青二才by 如来くん》は、教科書を通しソクラテスに思いを馳せ、《Mr.ドクニンジンの僕だって一人でラジオ進行できるもん♪》では、リスナーの投稿により地上の世界に戻った如来くん(仏陀)のことを知り、死後の世界から如来くんにエールを送るという架空の設定によって、両者の思考が交錯する構成となっています。