2021年2月23日火曜日

夏のこと


昨年八月の初旬、造園・建築系の現場で炎天下の作業を終え、帰宅した直後、自宅の庭で重度の熱中症により、倒れました。この時に救急車を呼ばなかったことが今の自分に少なからず影響しています。

それは、二日間にわたる、初めての生コン作業に関わってのことでした。初日も体が痺れるような症状がありながら、強い日差しの下で作業をしていました。ニ日目の現場では既に午前中からバテていたのですが、夕方に帰宅し、庭で倒れると全身が痺れ、口が曲がる顔面麻痺と呂律が回らない症状が現れました。一人では立ち上がることが出来ず、全身が殆ど動かなかったため、言葉にならないような奇声を発し、助けを求めました。獣の鳴き声だと思った家族が扉を開け、直ぐに異変に気付いて、氷で首や脇などを冷やしてくれたことで、何とか助かりました。(自分では途中からあまり覚えていません。)


数時間後には、はっきりと喋れるようになったものの、体の痺れや、頭に靄がかかったような症状が、その後も続きました。


コロナ禍で病院に行くことをためらい、倒れた当日に救急車を呼びませんでした。三日後、病院を受診したら、お医者さんにめちゃめちゃ怒られ、呆れられました(笑)。


本来、そういった症状がある場合、命や後遺症に関わる可能性があるため、倒れてから二時間以内に迷わず、救急車を呼び、病院で処置を受けるべきだったと仰っていました。


診断によると、重度の熱中症による「脳梗塞」とのことでした。


その数日後、総合病院の脳神経外科が休診だったため、内科を受診。そこであらゆる精密検査をしました。血液検査ではヘモグロビン値の上昇など、脱水症状による多血症であることが明らかになりましたが、MRIでは大きな血栓は見られませんでした。総合病院の受診後に行った治療院の鍼治療などで、一時期、症状は改善しました。


ただ、半年以上経った今でも握力は半分くらいしかなく、手足には痺れや若干の痛みがあるなど、いくつかの症状があります。走り出そうとしたり、立ち上がろうとする時に、脳の指令が伝わるのが少し遅れるというか、体が重く感じるというか、若干のタイムラグがあったりします。


結局、体調や負荷を考え、造園系の見習いのお仕事は辞めさせていただきましたが、とても刺激的な現場ではありました。お世話になった方々にとても感謝しております。


元々、東健次さんの《虹の泉》が少し気になっていたこともあり、美術の領域に近接する、あるいは拡張するような技能を学べる仕事を探しておりました。


ただ、ほんの少しだけやってみて、そもそも肉体を酷使する現場仕事は、自分の美術とはあまりにスケールが違い、向いていないとも感じました。まだまだ、これからが本番という時に辞めた事は残念ではありますが、いつか、少しでも、美術のヒントになればと思っております。


日常生活に大きな支障はないものの、土を少し練ったりするだけで結構、疲れます。


とりあえず、やりたいことと向き合える「今」があることに感謝しています。