(この文章は前ブログにて2012年11月7日に投稿した文に加筆や修正をしたものです。)
オモチャが無ければテレビのヒーローは紙で作ってしまう・・・・
お願いしたらオモチャを作ってくれる・・・・
紙ぺらロボットだってトランスフォーム・・・
喧嘩っ早い小学校一の問題児・・・
弟には妙に優しい・・・
そんな兄は幼少期の私にとってヒーローのようなものでした。
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〈AlienVision〉というメインコンセプトで絵画・立体など様々なスタイルで作品制作をする石山浩達。自明の事実として、それは彼が作り出した視点ではありますが、作品に私的な感情が感じられないというのが、かなり不思議で面白いです。
2012年まで〈 AlienVision〉は、三つの絵画シリーズと 立体シリーズを合わせて、4つのセクションによって構成されていました。
AlienVision:Lightより 「Alien Vision 4:渦動」Photo:Matsubara.Yutaka
AlienVision:Metamorphoseより「AlienVision5:Metamorphose」Photo:Matsubara.Yutaka
Alien Visionは表現方法がシリーズによって異なるというのが大きな特徴ですが、スタイルが異なる表現は自律的でもある一方、補完し合う事で、 AlienVisionの世界観は拡張され続けています。これからMangaをブリッジとして拡張され続けるのでしょうか・・・
高校時代の油彩画は今より厚塗りで、特に、握りこぶしを描いた《わきあがる意志》は、タッチも強く、ギラギラとした力強さを放っているように思いました。以前の兄が描く絵には、人間的な意志や感情が強く滲み出ていたように思います。
AlienVision:Lightより「Alien Vision 1 ー真砂なす数なき星の其の中に我に向ひて光る星ありー」(正岡子規より)
Photo:Matsubara.Yutaka
作り手にとって、創作に〈感情を帯びた視点〉が介入してしまうのは、おそらくノーマルな反応だと思いますが、それとは対照的な反応をしていると感じる兄の頭の中は、今でもさっぱり解りません。
Photo:Matsubara.Yutaka
生まれて初めて「ほしい!」と言ったものは、おもちゃではなく、昆虫図鑑。
それを見ながら絵を描き出した生まれながらのお絵描き少年・・・・
オモチャが無ければテレビのヒーローは紙で作ってしまう・・・・
お願いしたらオモチャを作ってくれる・・・・
紙ぺらロボットだってトランスフォーム・・・
喧嘩っ早い小学校一の問題児・・・
弟には妙に優しい・・・
そんな兄は幼少期の私にとってヒーローのようなものでした。
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〈AlienVision〉というメインコンセプトで絵画・立体など様々なスタイルで作品制作をする石山浩達。自明の事実として、それは彼が作り出した視点ではありますが、作品に私的な感情が感じられないというのが、かなり不思議で面白いです。
2012年まで〈 AlienVision〉は、三つの絵画シリーズと 立体シリーズを合わせて、4つのセクションによって構成されていました。
AlienVision:Lightより 「Alien Vision 4:渦動」Photo:Matsubara.Yutaka
AlienVisionDarknessより「赤い星」Photo:Matsubara.Yutaka
AlienVision:Metamorphoseより「AlienVision5:Metamorphose」Photo:Matsubara.Yutaka
AlienVision:Eternalより「永遠の個」
Alien Vision:unlimited oil 2013 500×500×500cm Installation view
Photo:Matsubara.Yutaka
Photo:Matsubara.Yutaka
2013年、「第16回岡本太郎現代芸術賞」での展示「Alien Vision:unlimited oil」にて、大型絵画+立体を含む100以上のパーツから成るインスタレーションを展開。
どうやら新シリーズのMangaは今までの作品とは違う側面を持っている模様。立体・平面で表現されている作品がキャラクター化し描かれ、Alien Visionのコンセプトを読解するための機能も担っているようです。
兄・浩達は〈AlienVision〉のシリーズを制作する以前、幼少期より、極めて私的な視点が介入していると思われる作品を幾つも描いてきました。
冒頭で触れましたが、彼が最初に買ってもらったものは、おもちゃではなく、昆虫や恐竜の図鑑。昆虫や恐竜、憧れのヒーローから描く対象は次第にオリジナルなものに変化していきました。ほうきに股がる友人を魔法使いにしたり、唇が特徴的だったボクシング少年をボクサーに見立ててキャラクター化し、それらのキャラが登場する物語を作ったりしていました。様々な人と出会い、何かを吸収していくなかで自我に目覚め、対象が変化していくというプロセスはごくごく人間的なモノだと思います。
冒頭で触れましたが、彼が最初に買ってもらったものは、おもちゃではなく、昆虫や恐竜の図鑑。昆虫や恐竜、憧れのヒーローから描く対象は次第にオリジナルなものに変化していきました。ほうきに股がる友人を魔法使いにしたり、唇が特徴的だったボクシング少年をボクサーに見立ててキャラクター化し、それらのキャラが登場する物語を作ったりしていました。様々な人と出会い、何かを吸収していくなかで自我に目覚め、対象が変化していくというプロセスはごくごく人間的なモノだと思います。
《わきあがる意志》H111.6xW91cm (石山浩達が高校2年(16歳)の時に描いた作品)
穏やかな笑顔を見せたり、家族と良く喋ったり、時にムスっとしてみたりする兄とは違って、Alien Vision のシリーズには私が〈お兄ちゃん〉に抱き続けている人間的な雰囲気がありません。
特に絵画の〈AlienVision:Light〉のシリーズは、まるで別の人格や生物が遠くから俯瞰しているという感じすらするほど技巧的で超クールです。
AlienVision:Lightより「Alien Vision 1 ー真砂なす数なき星の其の中に我に向ひて光る星ありー」(正岡子規より)
Photo:Matsubara.Yutaka
「技巧的で超クール」だというのは、〈AlienVision〉において、彼が自らの筆跡や造形感覚を消しているという事ではありません。例えば、隅から隅まで精密に細部を描き切るのが彼のLightシリーズの特徴であり、その独自のテクニック(板、白亜地、油彩、古典技法+オリジナル)を駆使しながら、これでもかと言わんばかりに、独創的で濃密な世界を描いています。それは、独自の手法やセンスで制作していながら、作品に痕跡として残ってしまうであろう〈感情を帯びた視点〉の行方が不明だという事です。
私がここで言う〈感情を帯びた視点〉とは、創作という過程のなかで発生する作り手の視点を連想させる痕跡、作者の熱やオーラと言った、言葉に表しにくい、あるいは実証不能な作者独自の雰囲気を纏ったものを指します。
作り手にとって、創作に〈感情を帯びた視点〉が介入してしまうのは、おそらくノーマルな反応だと思いますが、それとは対照的な反応をしていると感じる兄の頭の中は、今でもさっぱり解りません。
繰り返しになりますが、〈感情を帯びた視点〉の介入を拒み、創造によって架空の世界を造り上げていくという事に、 石山浩達 〈Alien Vision〉の魅力を感じています。
また、彼の最大の長所はシンプルに頭が良いという事です。一見、荒唐無稽とも思える「Alien vision」というコンセプトは、他の表現者たちに「私は人間です」と言うしかない選択を迫るという点で、他者との絶対的な差別化を計る優れたコンセプトだと思います。
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