2013年3月19日火曜日

インスタレーション エピソード





2012年1月6日に、現在通っている京都精華大学のグラウンドを占拠してインスタレーションをしました。正確に言うと、グラウンドの個人使用許可を大学に申請して行いました。


設営と撤去は当日中に行ったものの、準備には様々なエピソードがありました。だいぶ時間が経過してしまいましたが、今日はそのエピソードについて書いてみようと思います。


もともとこれは素材演習2という陶芸コースの選択授業のためにしていた制作でした。アルミホイルや金属の簡単な溶接といった課題を経て、最後の課題だったのがケッソクセンを使って何かを作るというもの。テーマは〈建築〉。

自然や道具など何かに関わるモノをつくるということであって、大規模なことをするなんて、想定していませんでした。

最初は合評のための展示に過ぎませんでした。

制作方法は自由。




























これは、現在制作中のある作品のほんの一部をアップにしたものですが、質感は異なるもののケッソクセンは自分が日頃から愛用しているカラーワイヤーと素材の性質的に差異はあまりないように感じました。むしろ、ケッソクセンのほうが柔らかくて曲げやすいくらいでした。


最初はとりあえず、ただただパーツを作っていって形と形の意外な組み合わせを探していくというような作業をし続きました。

自分が日頃からしている制作手法そのものだったので、次第に何か新しい事がしたいと感じるようになりました。

私は比較的広いスタイルを模索しながら、精神やセンスのバランスをとっていく傾向があるのかもしれません。シンメトリーなモノを家で作って入れば、同時に大学ではアシンメトリーな形体をつくっていたり・・・・・。その逆もあります。

振り幅をつくりながらやっていることが多いので、新たな発見をしたいという衝動は自然な流れなのだと思います。



迷いながら、段ボールにびっしりつまった自分が作ったパーツの山を見て、閃きました。

パーツ全てを繋げないで重ねるだけでも、何かを構築できないか・・・・

















グラウンドを海にしよう・・・・・・

頭の中で、イメージとともに、「これを実現したい」という、強く鮮明な欲望が増幅し始めました。 

何かが切り替わりました。




















グラウンドを使って海にするという事は決まったものの、その展示規模はどうなるのか・・・・・。

進級制作展に向け、170キロ越えの大きな作品の制作に追われていた昨年末。焼成のためには、2011年中に作品の製作を終え、乾燥させておかないといけないという課題がありました。

多くの時間をそちらのほうに使っていましたし、いつもにはない手応えを掴みかけていたので、進級製作の時間を短縮するわけには絶対にいきません。

とは言うものの、こちらの展示も諦める訳にもいきません。とりあえず、体育館の用務員の方にグラウンドを展示のために使用する事ができるのか確認にいきました。

そんなふうにグラウンドを使用した前例がないようで、最初は驚いているようでしたが、経緯を話したら快く承諾していただき、展示は可能なもよう・・・。使用許可を申請するため、申請書に記述をしました。


しかし、次の日は、運動部が申請書を提出しているため、その日に撤去をしなければいけないという事が判明。

展示は2012年1月6日ですが、1月5日や4日といった期間に設営ができないかを聞きました。学校は1月5日まで、施設を使用してはいけないことになっています。とりあえず希望としては伝えましたが、学校側から「何かあったら困る」ということで即却下が決定。仕方がないので当日中に設営と撤去をする事が決定しました。
























課題はいくつもありましたが、とりあえずグラウンドを視察。


迷いながら教室とグラウンドを行ったり来たりしていると、気がついたら夜になっていました。

グラウンドには電灯によって強い強烈な光と陰の境が出来ていました。その境界を波打ち際にすることにしました。

まずは、電灯の位置をチェック。



 


















グラウンドやその周辺には電灯が幾つかありますが、時間とともに、グラウンド奥から消えていく事が判明。

翌日もう一度体育館に行き、警備の方に光の位置について操作出来ないか話をしました。

























こちらのタイプのライトは通常はついていないものの、希望があれば点灯が可能との事でした。しかし、それでは明るくなりすぎてしまうので通常の電灯を使う事が決定。



結局入り口ともう一カ所、二つの電灯が物語のカギを握ることになりました。























この二つの電灯を利用して、二つの物語を作っていくことにしました。

それぞれの電灯の下にボイスレコーダーを設置、そこには関連性があると言えばある、無いともいえるような異なる音声を録音。

どちらの音声を聴くかでインスタレーションのイメージがすり替わるような仕掛けを作りました。

音声収録後、物語のために必要な様々なモチーフとともに、針金パーツの設営を開始しました。外は寒かったですが、時間がないのであまり気になりません。無事設営を終え、何とかなりました。

あとは、講評時刻を「日没後」とお願いし、なんとか本番もうまくいきました。





当日、多くの方に見てもらいたかったものの、結局来てくれたのは「素材演習2」の授業を履修しているメンバーのみ・・・・・・。

さらに、進級制作の作品の窯詰め等でこれなかった履修者もいて、結局来たのは十人いるかどうか・・・・・・・・・・

事前告知が無かったので人が集まらなかったのは当然ですが、悔しかったので、あれは僕の〈展覧会〉だったことにします(笑)

形に残らない表現なので、カメラの撮影技術が無い事、ちゃんとしたカメラで撮影出来なかった事が悔やまれます。























 ヘボ三脚ありがとう!!
 無いよりは良かったです。



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